税理士コラム
満期保険金ーー受取方法で一時所得か雑所得として課税ーー
- 投稿日:2023年02月09日
生命保険契約の満期や解約により保険金を受け取った場合には、保険料の負担者、保険金受取人が誰であるかにより、所得税、贈与税のいずれかの課税の対象になる。
なお、一時払養老保険等で保険期間等が5年以下のもの及び保険期間等が5年超で5年以内に解約されたものは、源泉分離課税が適用され、一律20.315%(所得税15.315%、地方税5%)の税率による源泉徴収だけで課税関係が終了する。
所得税が課税されるのは、保険料の負担者と保険金受取人とが同一人の場合である。
この場合の満期保険金等は、受取の方法により、一時所得または雑所得として課税される。
満期保険金等を一時金で受領した場合には、一時所得になる。
一時所得の金額は、その満期保険金等以外に他の一時所得がなければ、受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料または掛金の額を差し引き、さらに一時所得の特別控除額50万円を差し引いた金額となる。
一時所得の課税の対象になるのは、この金額をさらに2分の1にした金額だ。
一方、満期保険金等を年金で受領した場合には、公的年金等以外の雑所得になる。
雑所得の金額は、その年中に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料または掛金の額を差し引いた金額だ。
給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算する。なお、年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収される。
贈与税が課税されるのは、保険料の負担者と保険金の受取人が異なる場合だ。
保険料の負担者と年金の受取人が異なる場合には、保険料負担者から年金の受取人に対して、年金を受け取る権利が贈与されたものとみなされ、給付事由発生時点で贈与税が課税される。
また、満期保険金等を年金で受領する場合には、その支払を受ける年金に係る雑所得の計算は、課税部分と非課税部分に振り分けた上で計算をする。
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税理士コラム
住宅取得等資金の贈与の新非課税制度
- 投稿日:2023年01月12日
父母や祖父母など直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税措置は、2022年度税制改正において見直されたが、国税庁ではこれを受けて、新非課税制度の周知を図っている。
見直しは、適用期限が2023年12月31日まで2年延長され、受贈者ごとの非課税限度額は、受贈者が新非課税制度の適用を受けようとする住宅用の家屋の種類に応じた金額とされる。
具体的な非課税限度額は、住宅用家屋の取得等に係る契約の締結時期にかかわらず、住宅取得等資金の贈与を受けて新築等をした住宅用家屋の区分に応じ、
(1)耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋は1000万円
(2)それ以外の住宅用家屋は500万円
とされる。
既に新非課税制度の適用を受けて贈与税が非課税となった金額がある場合には、その金額を控除した残額が非課税限度額となる。
注意点としては、新非課税制度等の適用を受ける人が、所得税の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除(いわゆる住宅ローン控除)を適用する場合において、(1)住宅借入金等の年末残高の合計額が、(2)住宅用の家屋の新築等の対価の額又は費用の額から、新非課税制度等の適用を受けた部分の金額を差し引いた額を超えるときには、その超える部分に相当する金額については住宅ローン控除の適用はないことが挙げられる。
新非課税制度は、贈与税の申告書の提出期間内に贈与税の申告書及び一定の添付書類を提出した場合に限り、その適用を受けることができる。
また、新非課税制度適用後の残額には、暦年課税にあっては基礎控除(110万円)を適用することができ、また、相続時精算課税にあっては特別控除(2500万円)を適用することができる。
なお、相続時精算課税を適用した金額は、贈与者が亡くなった時の相続税の課税価格に加算される。
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