税理士コラム
マイホームを売却したら損失が!どうなる?どうする?
- 投稿日:2023年04月20日
2023年12月31日までに住宅ローンのあるマイホームを住宅ローンの残高を下回る価額で売却して譲渡損失が生じたときは、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得との損益通算ができます。
さらに、損益通算をしても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年間繰越控除できます。
これらの特例を、特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例といいます。
特例適用の要件
特例適用の要件は、
自分が住んでいるマイホーム(譲渡資産)を譲渡すること
譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超えるマイホーム(譲渡資産)で日本国内にあるものの譲渡であること
譲渡したマイホームの売買契約日の前日において、そのマイホームに係る償還期間10年以上の住宅ローンの残高があること
マイホームの譲渡価額が❸の住宅ローンの残高を下回っていること
などがあります。
譲渡損失の損益通算限度額
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例は、新たなマイホーム(買換資産)を取得しない場合であっても適用できます。
譲渡損失の損益通算限度額は、マイホームの売買契約日の前日における住宅ローンの残高から売却価額を差し引いた残りの金額が、損益通算の限度額となります。
例えば、購入代金6000万円のマイホームを2000万円で売却(譲渡損失4000万円)し、借入金残高が3000万円ある場合、「3000万円-2000万円=1000万円」が損益通算限度額となります。
なお、合計所得金額が3000万円を超える年がある場合は、その年のみ繰越控除が適用できませんので注意が必要です。
損益通算及び繰越控除の両方が適用できない場合
また、損益通算及び繰越控除の両方が適用できない場合があります。
それは、
親子や夫婦など特別の関係がある人に対してマイホームを売却した場合
マイホームを売却した年の前年及び前々年に、居住用財産の譲渡所得の3000万円の特別控除や居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率などの特例を適用している場合
マイホームを売却した年の前年以前3年以内の年において生じた他のマイホームの譲渡損失の金額について、特定のマイホームの譲渡損失の損益通算の特例を適用している場合
マイホームを売却した年またはその年の前年以前3年内における資産の譲渡について、マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例の適用を受ける場合または受けている場合
などに該当する場合です。
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国税庁、年末調整手続きの電子化をPR――法定調書100枚以上提出で電子申告義務化――
- 投稿日:2023年03月14日
国税庁が年末調整手続きの電子化をPRしている。
2021年1月の申告分から、法定調書(年末調整)の電子化が義務づけられた。対象企業は、前々年度(2年前)に発行した法定調書が種類ごとにみて100枚以上である企業だ。
対象となった場合、e-TaxまたはCD・DVDなどの光ディスク等で申告が必要となる。
例えば、2020年に発行した給与所得の源泉徴収票が120枚であった場合、2022年度の申告から給与所得の源泉徴収票は電子化の対象となっている。
ただし、電子化の対象となるのは法定調書の種類ごとになるため、年末調整にかかわる法定調書を100枚以上発行していなければ、電子化の対象とはならない。
これまでの年末調整では、従業員は保険会社から保険料控除証明を書面(ハガキ)で受け取り、それを基に手書きで保険料控除申告書を作成して書面で勤務先に提出するなど、年末調整の一連の手続きを書面で行っていた。
これらの一連の手続きが電子化されると、従業員は控除証明書を電子データで受け取り、そのデータを電子化に対応した民間ソフトウェアや国税庁が提供する「年調ソフト」にインポートすることで、各種控除申告書をデータ作成しメール等で勤務先に提出ができるようになる。
国税庁では、控除証明書の電子データの取込から控除申告書のデータ作成に対応した「年調ソフト」を開発し、各アプリストアや国税庁ホームページで公開している。
つまり、年末調整手続きの電子化とは、
(1)従業員が控除証明書等を電子データで取得し、それを利用して年末調整申告書データを作成すること
(2)勤務先が従業員から(1)の年末調整申告書データ及び控除証明書等データの提供を受け、これを利用して年税額等の計算を行うこと
の2つを実施することにより、年末調整手続をデータ処理することだ。これにより勤務先・従業員双方の年末調整に係る事務負担を軽減する施策となっている。
※電子化のメリット
なお、国税庁では、電子化のメリットとして
(1)保険料控除等の控除額の検算が不要
(2)控除証明書等のチェック事務が削減(従業員が控除証明書等データを利用した場合)
(3)従業員からの問合せが減少
(4)年末調整関係書類の保管コストが削減
などをあげています。
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