税理士コラム
住宅の貸付けで非課税になるケース、ならないケース
- 投稿日:2024年10月30日
非課税になる場合
住宅の貸付けは、消費税は非課税とされます。
住宅とは、人の居住用に供する家屋や家屋のうち人の居住用に供する部分をいい、一戸建ての住宅のほか、マンション、アパート、社宅、寮等が含まれます。
また、通常住宅に付随して、または住宅と一体となって貸し付けられる庭、塀、給排水施設等住宅の一部と認められるものや、家具、照明設備、冷暖房設備等の住宅の附属設備で住宅と一体となって貸し付けられるものは「住宅の貸付け」に含まれます。
駐車場等の施設については、駐車場の貸付けは、一戸当たり1台分以上の駐車スペースが確保されており、かつ、自動車の保有の有無にかかわらず割り当てられている等の場合と、家賃とは別に駐車場使用料等を収受していない場合のどちらにも該当する場合、非課税となります。
プール、アスレチック、温泉などの施設を備えた住宅については、居住者のみが使用でき、家賃とは別に利用料等を収受していない場合、非課税となります。
非課税にならない場合
住宅の貸付けとして非課税となるのは、その貸付けに係る契約において住宅用に供することが明らかにされているものや、契約において貸付けの用途が明らかにされていない場合にその貸付け等の状況からみて住宅用に供されていることが明らかなものに限られます。
また、貸付期間が1ヵ月未満の場合に該当する場合や旅館業法第2条第1項に規定する旅館業に係る施設の貸付けに該当する場合は非課税となる住宅の貸付けから除かれます。
例えば、旅館、ホテル、貸別荘、リゾートマンション、ウィークリーマンション等は、その利用期間が1ヵ月以上となる場合であっても、非課税とはなりません。
そのほか、住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業(いわゆる民泊)も、旅館業法に規定する旅館業に該当するので、非課税の対象となりません。
また、対価たる家賃には、月決め等の家賃のほか、敷金、保証金、一時金等のうち返還しない部分が含まれます。
共同住宅の共用費用等
共同住宅における共用部分に係る費用(エレベーターの運行費用、廊下等の光熱費等)を入居者が応分に負担する、いわゆる共益費も家賃に含まれます。
ただし、入居者から家賃とは別に収受する専有部分の電気、ガス、水道等の利用料は、非課税とされる家賃には含まれません。
「まかない」などのサービスが伴う下宿、有料老人ホーム等の場合、まかないなどのサービス部分は課税となり、部屋代部分は非課税となります。
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土地や建物等の不動産の貸付け、どこからが事業?
- 投稿日:2024年09月24日
土地や建物などの不動産の貸付けによる所得は、不動産所得になります。
不動産所得は、その不動産貸付けが事業として行われているかどうかによって、所得金額の計算上の取扱いが異なる場合があります。
不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断するとされています。
建物の貸付け
ただし、建物の貸付けについては、貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上、独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上、のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として取り扱われます。
駐車場の場合は、明確な基準はありませんが、5台で1室と計算されます。
これらを言い換えれば、「戸建て(一棟物件)×1棟=アパート(マンション)×2室=駐車場×10台分」が同じ関係となることになります。
不動産の貸付け、事業の場合とそれ以外の場合の所得金額の計算上の相違点
また、不動産の貸付けが事業として行われている場合とそれ以外の場合の所得金額の計算上の相違点のうち、主なものは下記のとおりです。
(1)賃貸用固定資産の取壊し、除却などの資産損失については、不動産の貸付けが事業として行われている場合は、その全額を必要経費に算入しますが、それ以外の場合は、その年分の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額を限度に必要経費に算入されます。
(2)賃貸料等の回収不能による貸倒損失は、不動産貸付けが事業として行われている場合は、回収不能となった年分の必要経費に算入しますが、それ以外の場合は、収入に計上した年分まで遡って、回収不能に対応する所得がなかったものとして、所得金額の計算をやり直します。
(3)青色申告の事業専従者給与または白色申告の事業専従者控除については、不動産貸付けが事業として行われている場合は適用があります、それ以外の場合には適用がありません。
青色申告特別控除について
青色申告特別控除については、不動産貸付けが事業として行われている場合、正規の簿記の原則による記帳を行うなどの一定の要件を満たすことにより最高55万円の控除を受けることができます。
この55万円の青色申告特別控除を受けることができる人が電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告を行っている場合は、65万円の青色申告特別控除が受けられます。
なお、それ以外の場合の控除額は最高10万円です。
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