税理士コラム
相続開始前7年以内贈与、課税価格への加算対象贈与財産価額に留意!
- 投稿日:2025年01月08日
2023年度税制改正で、相続税・贈与税について資産移転の時期の選択に対する中立性を高めるため、相続税の課税価格に加算される暦年課税による贈与の対象期間(「加算対象期間」)が相続の開始前3年以内から相続の開始前7年以内に延長されたのは記憶に新しいかと思います。
その際、過去に受けた贈与の記録・管理に係る事務負担を軽減する観点から、改正により延長された期間(相続の開始前3年超7年以内)に贈与を受けた財産の価額については、総額100万円まで相続税の課税価格に加算されないこととされました。
相続税の課税価格に加算される贈与により取得した財産の価額として、相続税の課税価格に加算される加算対象贈与財産の価額は、その財産の下記に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める金額となることに留意するとしました。
区分は、
(1)加算対象贈与財産のうち相続の開始前3年以内に取得した財産は、その財産に係る贈与の時における価額
(2)加算対象贈与財産のうち相続の開始前3年以内に取得した財産以外の財産は、その財産に係る贈与の時における価額の合計額から100万円を控除した残額
となっています。
なお、(2)の区分においては、相続または遺贈により財産を取得した者ごとに100万円が控除されるものであることから、その価額の合計額が100万円以下である場合には、相続税の課税価格に加算される金額はない(残額は零となる)ことに留意するとしました。
その他の留意点
本改正は2024年1月1日以後に贈与により取得した財産に係る相続税について適用されることから、相続または遺贈により財産を取得した日が2024年1月1日から2030年12月31日までの期間にある場合においては、加算対象期間及び相続開始前3年以内に取得した財産以外の財産に係る期間(100万円控除が適用される期間)は財産の取得時期に応じて、それぞれ異なりますので、留意する必要があります。
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税理士コラム
住宅の貸付けで非課税になるケース、ならないケース
- 投稿日:2024年10月30日
非課税になる場合
住宅の貸付けは、消費税は非課税とされます。
住宅とは、人の居住用に供する家屋や家屋のうち人の居住用に供する部分をいい、一戸建ての住宅のほか、マンション、アパート、社宅、寮等が含まれます。
また、通常住宅に付随して、または住宅と一体となって貸し付けられる庭、塀、給排水施設等住宅の一部と認められるものや、家具、照明設備、冷暖房設備等の住宅の附属設備で住宅と一体となって貸し付けられるものは「住宅の貸付け」に含まれます。
駐車場等の施設については、駐車場の貸付けは、一戸当たり1台分以上の駐車スペースが確保されており、かつ、自動車の保有の有無にかかわらず割り当てられている等の場合と、家賃とは別に駐車場使用料等を収受していない場合のどちらにも該当する場合、非課税となります。
プール、アスレチック、温泉などの施設を備えた住宅については、居住者のみが使用でき、家賃とは別に利用料等を収受していない場合、非課税となります。
非課税にならない場合
住宅の貸付けとして非課税となるのは、その貸付けに係る契約において住宅用に供することが明らかにされているものや、契約において貸付けの用途が明らかにされていない場合にその貸付け等の状況からみて住宅用に供されていることが明らかなものに限られます。
また、貸付期間が1ヵ月未満の場合に該当する場合や旅館業法第2条第1項に規定する旅館業に係る施設の貸付けに該当する場合は非課税となる住宅の貸付けから除かれます。
例えば、旅館、ホテル、貸別荘、リゾートマンション、ウィークリーマンション等は、その利用期間が1ヵ月以上となる場合であっても、非課税とはなりません。
そのほか、住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業(いわゆる民泊)も、旅館業法に規定する旅館業に該当するので、非課税の対象となりません。
また、対価たる家賃には、月決め等の家賃のほか、敷金、保証金、一時金等のうち返還しない部分が含まれます。
共同住宅の共用費用等
共同住宅における共用部分に係る費用(エレベーターの運行費用、廊下等の光熱費等)を入居者が応分に負担する、いわゆる共益費も家賃に含まれます。
ただし、入居者から家賃とは別に収受する専有部分の電気、ガス、水道等の利用料は、非課税とされる家賃には含まれません。
「まかない」などのサービスが伴う下宿、有料老人ホーム等の場合、まかないなどのサービス部分は課税となり、部屋代部分は非課税となります。
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