税理士コラム
土地や建物等の不動産の貸付け、どこからが事業?
- 投稿日:2024年09月24日
土地や建物などの不動産の貸付けによる所得は、不動産所得になります。
不動産所得は、その不動産貸付けが事業として行われているかどうかによって、所得金額の計算上の取扱いが異なる場合があります。
不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業と称するに至る程度の規模で行われているかどうかによって、実質的に判断するとされています。
建物の貸付け
ただし、建物の貸付けについては、貸間、アパート等については、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上、独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上、のいずれかの基準に当てはまれば、原則として事業として取り扱われます。
駐車場の場合は、明確な基準はありませんが、5台で1室と計算されます。
これらを言い換えれば、「戸建て(一棟物件)×1棟=アパート(マンション)×2室=駐車場×10台分」が同じ関係となることになります。
不動産の貸付け、事業の場合とそれ以外の場合の所得金額の計算上の相違点
また、不動産の貸付けが事業として行われている場合とそれ以外の場合の所得金額の計算上の相違点のうち、主なものは下記のとおりです。
(1)賃貸用固定資産の取壊し、除却などの資産損失については、不動産の貸付けが事業として行われている場合は、その全額を必要経費に算入しますが、それ以外の場合は、その年分の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額を限度に必要経費に算入されます。
(2)賃貸料等の回収不能による貸倒損失は、不動産貸付けが事業として行われている場合は、回収不能となった年分の必要経費に算入しますが、それ以外の場合は、収入に計上した年分まで遡って、回収不能に対応する所得がなかったものとして、所得金額の計算をやり直します。
(3)青色申告の事業専従者給与または白色申告の事業専従者控除については、不動産貸付けが事業として行われている場合は適用があります、それ以外の場合には適用がありません。
青色申告特別控除について
青色申告特別控除については、不動産貸付けが事業として行われている場合、正規の簿記の原則による記帳を行うなどの一定の要件を満たすことにより最高55万円の控除を受けることができます。
この55万円の青色申告特別控除を受けることができる人が電子帳簿保存またはe-Taxによる電子申告を行っている場合は、65万円の青色申告特別控除が受けられます。
なお、それ以外の場合の控除額は最高10万円です。
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子育て世帯に対する住宅ローン控除の拡充
- 投稿日:2024年08月13日
2024年度税制改正では、経済社会の構造変化を踏まえ、子育て世帯及び若者夫婦世帯に対する住宅ローン控除を拡充します。
子育て世帯等における借入限度額について、新築等の認定住宅については500万円、新築等のZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅については1000万円の上乗せ措置を講ずることとなりました。
なお、「ZEH水準省エネ住宅」とは、日本住宅性能表示基準の「断熱等性能等級5」かつ「一次エネルギー消費量等級6」に適合する住宅のことをいいます。
子育て特例は、
・夫婦のどちらかが40歳未満であって、年齢19歳未満の子ども(扶養親族)がいる者が、
・認定住宅等の新築等をして2024年1月1日から同年12月31日までの間に居住の用に供した場合、
・引き下げる予定だった住宅ローン等の年末残高の借入限度額を、現行水準のまま2024年も維持して特例の適用ができる
ものです。
その他の世帯については、2024年から予定通り引き下げることになります。
子育て世帯等の減税対象となる借入限度額は、
・「認定住宅」が5000万円
・「ZEH水準省エネ住宅」が4500万円
・「省エネ基準適合住宅」が4000万円
です。
また、認定住宅等の新築や認定住宅等で建築後使用されたことのないものの取得に係る床面積要件の緩和措置(床面積が40平方メートル以上50平方メートル未満にも適用)については、2024年12月31日以前に建築確認を受けた家屋についても適用できることとします。
特例対象家屋リフォーム支援税制も見直し
子育て支援では、リフォーム支援税制も見直されます。
子育て特例対象の個人が所有する居住用の家屋について一定の子育て対応改修工事をして、その居住用の家屋を2024年4月1日から同年12月31日までの間に居住の用に供した場合を適用対象に追加し、その子育て対応改修工事に係る標準的な工事費用相当額(250万円を限度)の10%相当額をその年分の所得税の額から控除できることとします。
子育て対応改修工事
「一定の子育て対応改修工事」とは、
(1)子どもの事故防止のための工事
(2)対面式キッチンへの交換工事
(3)開口部の防犯性を高める工事
(4)収納設備を増設する工事
(5)開口部・界壁・床の防音性を高める工事
(6)間取り変更工事
であって、その工事に係る標準的な工事費用相当額(補助金等の交付がある場合には、補助金等の額控除後の金額)が50万円を超えること等一定の要件を満たすものをいいます。
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