税理士コラム
個人所得課税の改正~ふるさと納税について~
- 投稿日:2015年10月08日
ふるさと納税とは、都道府県や市区町村に対して寄付をすると、寄付金のうち2千円を超える部分について、一定の上限まで、原則として所得税・個人住民税から全額が控除される制度です(年間の所得金額や家族構成により全額が控除されないケースもあります)。
納税者が寄付をしたい自治体を選べるうえ、寄付金額に見合った特産品などがもらえる自治体もあり、いまや多くの人がこの制度を利用しています。
住民税の特例限度額の拡充
今回の改正では、住民税の特例限度額が現行1割から2割に引き上げられます。
ふるさと納税における控除額の計算
①所得税(寄付金 – 2千円)を所得控除(所得控除額 × 所得税率が軽減)
②個人住民税(基本分)(寄付金 – 2千円)× 10%を税額控除
③個人住民税(特例分)(寄付金 – 2千円)×(100% – 10%(基本分)- 所得税率)
①、②により控除できなかった寄付金額を、③により全額控除(所得割額の1割を限度)→改正により、所得割額の2割まで控除可能に
ふるさと納税ワンストップ特例制度
ふるさと納税を行い、実際に控除を受けるためには、現行制度では確定申告をすることが必須となっています。
しかし、今回の改正により、通常確定申告を行う必要がない給与所得者等については、寄付先の団体が寄付者に代わって控除手続きを行う「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が創設されます。
これにより、給与所得者等については、確定申告をすることなく控除を受ける事が可能になります。
なお、確定申告をすることなく控除を受けられるのは、5つの都道府県もしくは市区町村までに限られます。この改正は、平成27年4月1日以後に行われる寄付より適用されます。
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税理士コラム
個人所得課税の改正~NISAについて~
- 投稿日:2015年10月08日
平成27年度の税制改正では、投資のすそ野を若年層まで拡大するという理念のもと、既存のNISA制度の拡充に加え、対象を未成年にまで広げた「ジュニアNISA」が新たに創設されます。
ジュニアNISA(少額投資非課税制度)の創設
①ジュニアNISAの狙い
NISAの利用者の大半は40歳以上の中高年層に集中しており、20代~30代の利用者は全体の10%程度という現状です。
つまり、我が国の若年層には「投資が浸透していない」ということが言えます。
そこで、若年層にまで投資のすそ野を若年層まで拡大するため、未成年者もNISA制度の対象とする事にしました。
Ⅰ・若年層に投資を浸透させる
Ⅱ・高齢者の資産を若年層に移転し、さらに投資に振り向けることで経済成長に
必要な資金供給を拡大する
Ⅲ・長期的な資産形成の促進
②制度の概要
この制度の創設により、両親や祖父母が子や孫名義の口座を開設して株式等の取引を行った場合、そのキャピタルゲインについて非課税の取扱いを受ける事ができます。
項目 | 摘要 |
---|---|
制度の対象者 | 0歳~19歳の居住者等 |
年間投資上限額 | 80万円 |
非課税対象 | 上場株式、公募株式投信等 |
投資可能期間 | 平成35年まで |
非課税期間 | 投資した日から最長5年間 |
運用管理 | ・原則として、親権者等が未成年者のために代理して運用を行う。 ・18歳まで払出し制限。払出す場合は、過去の利益に対して課税。 |
平成28年1月1日以後に未成年者口座の開設申し込みがされ、同年4月1日から未成年者口座に受け入れる上場株式等について適用されます。
NISAの拡充
投資を促進する観点から、すでにスタートしている通常のNISAについても拡充が図られます。
具体的には、各年分の非課税管理勘定に受け入れることができる非課税投資額が120万円(現行:100万円)まで引き上げられます。
この改正は、平成28年分以後の非課税管理勘定について適用されます。
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