税理士コラム
国税庁、年末調整手続きの電子化をPR――法定調書100枚以上提出で電子申告義務化――
- 投稿日:2023年03月14日
国税庁が年末調整手続きの電子化をPRしている。
2021年1月の申告分から、法定調書(年末調整)の電子化が義務づけられた。対象企業は、前々年度(2年前)に発行した法定調書が種類ごとにみて100枚以上である企業だ。
対象となった場合、e-TaxまたはCD・DVDなどの光ディスク等で申告が必要となる。
例えば、2020年に発行した給与所得の源泉徴収票が120枚であった場合、2022年度の申告から給与所得の源泉徴収票は電子化の対象となっている。
ただし、電子化の対象となるのは法定調書の種類ごとになるため、年末調整にかかわる法定調書を100枚以上発行していなければ、電子化の対象とはならない。
これまでの年末調整では、従業員は保険会社から保険料控除証明を書面(ハガキ)で受け取り、それを基に手書きで保険料控除申告書を作成して書面で勤務先に提出するなど、年末調整の一連の手続きを書面で行っていた。
これらの一連の手続きが電子化されると、従業員は控除証明書を電子データで受け取り、そのデータを電子化に対応した民間ソフトウェアや国税庁が提供する「年調ソフト」にインポートすることで、各種控除申告書をデータ作成しメール等で勤務先に提出ができるようになる。
国税庁では、控除証明書の電子データの取込から控除申告書のデータ作成に対応した「年調ソフト」を開発し、各アプリストアや国税庁ホームページで公開している。
つまり、年末調整手続きの電子化とは、
(1)従業員が控除証明書等を電子データで取得し、それを利用して年末調整申告書データを作成すること
(2)勤務先が従業員から(1)の年末調整申告書データ及び控除証明書等データの提供を受け、これを利用して年税額等の計算を行うこと
の2つを実施することにより、年末調整手続をデータ処理することだ。これにより勤務先・従業員双方の年末調整に係る事務負担を軽減する施策となっている。
※電子化のメリット
なお、国税庁では、電子化のメリットとして
(1)保険料控除等の控除額の検算が不要
(2)控除証明書等のチェック事務が削減(従業員が控除証明書等データを利用した場合)
(3)従業員からの問合せが減少
(4)年末調整関係書類の保管コストが削減
などをあげています。
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満期保険金ーー受取方法で一時所得か雑所得として課税ーー
- 投稿日:2023年02月09日
生命保険契約の満期や解約により保険金を受け取った場合には、保険料の負担者、保険金受取人が誰であるかにより、所得税、贈与税のいずれかの課税の対象になる。
なお、一時払養老保険等で保険期間等が5年以下のもの及び保険期間等が5年超で5年以内に解約されたものは、源泉分離課税が適用され、一律20.315%(所得税15.315%、地方税5%)の税率による源泉徴収だけで課税関係が終了する。
所得税が課税されるのは、保険料の負担者と保険金受取人とが同一人の場合である。
この場合の満期保険金等は、受取の方法により、一時所得または雑所得として課税される。
満期保険金等を一時金で受領した場合には、一時所得になる。
一時所得の金額は、その満期保険金等以外に他の一時所得がなければ、受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料または掛金の額を差し引き、さらに一時所得の特別控除額50万円を差し引いた金額となる。
一時所得の課税の対象になるのは、この金額をさらに2分の1にした金額だ。
一方、満期保険金等を年金で受領した場合には、公的年金等以外の雑所得になる。
雑所得の金額は、その年中に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料または掛金の額を差し引いた金額だ。
給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算する。なお、年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収される。
贈与税が課税されるのは、保険料の負担者と保険金の受取人が異なる場合だ。
保険料の負担者と年金の受取人が異なる場合には、保険料負担者から年金の受取人に対して、年金を受け取る権利が贈与されたものとみなされ、給付事由発生時点で贈与税が課税される。
また、満期保険金等を年金で受領する場合には、その支払を受ける年金に係る雑所得の計算は、課税部分と非課税部分に振り分けた上で計算をする。
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